Part 16 方法の書き方【おしえて論文作成】
今回は、論文での方法の書き方をご紹介いたします。
1. 方法を書くコツ
はじめに、方法を書くコツについてご紹介します。
方法は、著者が一番よくわかっていますので、論文の中で最も書きやすいセクションであると言えます。
そのため、論文の原稿で最初に書き始めるとよいと言われています。
このセクションの主な目的は、「読者が実験の内容を理解し、必要であれば同じ実験を再現できるようにすること」です。
そのため、実際に行った手順の順番通りに説明したり、実験ごとに見出しをつけたりすると、読みやすくなります。
説明は可能な限り簡潔にし、明解かつ論理的に書くことが大切ですので、各手法・ステップについて、統一性のある書き方を心掛けましょう。
また、方法を書く際の文法的な注意点として、動作を強調させるために、受動態が使われることが多いです。
時制は、過去形または現在形が使われ、自分が行った作業については過去形、確立された科学的事実や標準的な方法、ソフト、機器については現在形が使われます。
2. 過去の研究と同じ方法の場合の対応
続いて、過去の研究と同じ方法の場合の対応についてご紹介します。
標準的な方法や、すでに他の研究で使われている方法をそのまま使った場合には、すべてを詳しく説明する必要はありません。
ただし、「その方法が標準的であること」や、「過去の論文に載っている方法であること」、「製造元のマニュアルに従っていること」などを、以下の例1・例2のように示す必要があります。
例1: The collected samples were assessed in accordance with global standards.
例2: Our methods followed the procedures outlined in [Smith, 2017].
また、過去に自分が発表した論文と全く同じ方法を用いた場合、同じ説明を記載すると、剽窃と判断されてしまう可能性があります。
そのような場合は、例3のように、過去に発表した自分たちの論文を引用し、その方法が自分たちの研究グループによるものであること、または方法の詳しい内容はその論文に記載されていることがわかるように明記するようにしましょう。
例3: Full details of the methods used can be found in our previous paper [15]. In brief, …
3. 読みやすさを高めるための工夫
最後に、読みやすさを高めるための工夫についてご紹介します。
1つのセンテンス内で紹介する手順は、多すぎると読みづらいですが、1つだけではなく複数紹介しても大丈夫です。もし1つのセンテンスに1つの手順だけを紹介すると、同じスタイルが繰り返され、単調になってしまいます。
文章が単なる情報の羅列にならないよう、情報の量に緩急をつけ、声に出して読んだときに自然か確認しましょう。
また、複数の情報をまとめる際に、2つの情報の間にカンマを使って情報を挿入すると、主語と動詞が分断されて読みにくくなるため、頻繁に使わないようにしましょう。
文章の構造を簡潔にする方法としては、語数を減らすことが挙げられます。
読者が研究分野について知識があることを仮定して基本的な情報を削除したり、既報の研究方法については引用だけにとどめたり、さらには図表を使って要約するなどの方法があります。
ただし、独自に用語を定義したり、略語を使用したりした場合は、読者がその内容を覚えていない可能性があります。そのため、最初に定義を記載したところから離れて登場する際は、改めて説明を補足すると良いでしょう。
さらに、目的や方法を表す英語表現を選ぶ際には、以下の例文に示したように、-ing形よりも不定詞を使った方が簡潔にすることができます。
例1: For the purpose of investigating the subjects’ lifestyle …
例2: To investigate the subjects’ lifestyle…
また、可能性を示す表現としてはallow, enable, permitなどの動詞がありますが、いずれも不定詞の前に目的語が必要であることに注意してください。
さらに、ステップの移行や流れを示す表現として、thus, thereby, consequentlyなどがあります。
これらは、文頭に置くこともできますが、be動詞の後が最も自然です。
このように、方法を説明する際は、正しい英文法を使っているか確認するようにしましょう。