Part 18 考察の書き方【おしえて論文作成】
1. 考察の構成
今回は、考察の構成についてご紹介します。
医学分野では、以下のような構造化考察を設定しているジャーナルがあります。投稿先がこのようなテンプレートを設けていない場合も、このような流れで考察を作成するとわかりやすくなります。
- 構造化考察
- 主要な研究成果の提示
- 研究の強みと弱み
- 他の研究と比較したときの強みと弱み、結果の重要な違いの考察
- 研究の意義 (他の研究者に対する説明)
- 未解決の問題 (研究限界など) と将来の研究に寄せる期待
まず、主要な研究結果を示し、最初に立てた仮説に沿っているかなど、結果の強みと弱みを確認します。続いて、他の研究と比較したときの強みと弱み、そして結果の違いについて考察します。最後に、研究の意義や、未解決の問題と将来の研究に寄せる期待について述べて締めくくります。
これらの情報を網羅し、考察を通して論文の説得力と信頼感を高めることが重要です。なお、ヒト試験のうち、ランダム化比較試験を報告する論文では、世界的なガイドラインであるCONSORT声明に従って論文を作成してください。
2. 考察の導入と他の研究との比較
続いて、考察の導入と他の研究との比較についてご紹介します。
考察の書き出しは、下に示した4つのパターンが挙げられます。
- 研究の目的を1文程度で示し、読者に思い出させる
- 序論で提示した問い (仮説・予測) を再提示する
- 文献レビューで引用した論文を再び挙げる
- 最も重要だと思う結果を簡潔に述べる
研究の目的を提示するパターン、序論で提示した問い (仮説・予測)
を提示するパターン、文献レビューで引用した論文を再び挙げるパターン、最も重要だと思う結果を挙げるパターンです。これらのいずれかを選んで書くこともできますし、組み合わせて書き始めることも可能です。
また、考察では自分の研究と他の研究を比較することになりますが、下に示したような流れで構成するとスムーズです。
- 比較したい自分の研究結果を簡潔に述べる
- 自分の研究結果と直接関連のある研究をピックアップする
- その研究と自分の研究との関連性 / 違いを述べる
- 以上を踏まえて、自分の結果から導き出せる結論を提示する
まず、比較したい自分の研究結果を簡潔に述べ、直接関連のある研究をピックアップします。
次に、その研究と自分の研究との関連性または違いを考察し、それを踏まえて自分の結果から導き出せる結論を提示します。
このように自分の研究と先行・類似研究を比較し、問題に対する理解を効果的に引き出すことが重要です。
3. 考察における表現テクニック
次に、考察における表現テクニックをご紹介します。
考察の目的の一つは得られた結果を売り込むことであり、他のセクションよりも強めの言葉を使ったり、強めに断定したりしても構いません。たとえば、性質や数量を表す形容詞や大きな前進を示唆する名詞が考察でよく使われます。しかし、このような表現を使いすぎると効果が半減してしまいますので、注意してください。
- 性質や数量を表す形容詞: convincing, undeniable, hugeなど
- 大きな前進を示唆する名詞: breakthrough, advanceなど
また、自分の主張に対して他の解釈が存在する可能性もありますが、研究の現状については、誠実に、正直に、誤解を招かないように書くことが重要です。全ての可能性を調査した訳ではない場合、it
appears to be や it seems など、「思われる」という言い回しを使い、サンプル数が少ないことや、外部因子の影響を受けた可能性など、限定的な条件となった理由に触れましょう。さらに、反対意見が予想される場合は、自分の考えが間違いである可能性や他の解釈を挙げ、自分の研究結果からそれらが棄却できる理由を説明し、自らの結論を提示するようにしましょう。他の解釈の可能性も考慮し、自分の考えは謙虚に示しましょう。
4. 文献に対する批評と考察の締めくくり
後に、文献に対する批評と考察の締めくくりについてご紹介します。考察では、自分の研究結果と矛盾する文献にも言及し、研究の透明性を確保することが大切です。引用した先行・類似研究に対して批評する際は、相手の信用を傷つけないように批評しましょう。
たとえば、あまりに一般的または特定分野でしか実施されていない研究に対しては、自分は新たな領域に応用したいと考えているというように、相手に敬意を払ってコメントしましょう。他者の研究への言及方法については、第13回でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
また、考察の締めくくりは、下に示した5つのパターンが挙げられます。
- 他分野への応用可能性
- 自分の仮説の改善可能性
- 特定分野の除外理由
- 実施できなかったこと・結論
- 研究課題の意義
他の分野への応用可能性や、自分の仮説がより良くなる可能性のある方法のほか、特定分野が除外された場合はその理由、実施できなかったことがある場合はその結果や導けなかった結論を述べます。あるいは、考察で述べてきたことの正当性をアピールするため、研究課題の意義を再度述べても良いでしょう。ジャーナルによっては結論のセクションがない場合もありますが、そのような時は、結果や提言など、読者に最も印象づけたいポイントを要約して締めくくりましょう。