Part 6-1 あいまいな表現を避けよう―名詞・代名詞の注意点―【おしえて論文作成】
1. 代名詞や同義語はあいまいさの原因!
あいまいさの最大の原因となる代名詞や同義語についてご紹介します。言語によっては、名詞に格や性別が存在するため、代名詞が何を指しているのか明確にすることができます。しかし、英語にはそのような仕組みがないため、代名詞が指す内容は読者に探してもらう必要があります。
下の例文のitのように、代名詞が何を指しているのか判断が難しい場合は、itの内容を具体的に記載することであいまいさを避けることができます。
修正前: I put the book in the car and then I left it there.
修正後: I put the book in the car and then I left the book.
また、キーワードを同義語で置き換えないことも重要です。論文の中でキーワードとなる言葉を同義語に置き換えると、その言葉がキーワードを指していることに気づかない可能性があります。
そのため、同義語の使用はキーワード以外の形容詞や動詞に限定することが望ましいです。ただし、前置詞はそれぞれ異なる意味を持つため、同義語を無理に探す必要はありません。同じ前置詞が繰り返されても、文法的に正しければ問題はありません。キーワードを代名詞や同義語で置き換えないことが重要です。
2. 正確でわかりやすい用語を使おう
続いて、用語の選定についてご紹介します。論文では、専門用語が出てくることも多いですが、読者は必ずしも専門家とは限りません。
そこで、下の例文のように、読者が理解できない専門用語は使わず、その代わりに、専門外の人にもわかるような説明に置き換えるとわかりやすくなります。
修正前: The homophily among humans introduces ・・・.
修正後: The tendency of individuals to associate and bond with similar people introduces ・・・.
また、自分にとってはわかりやすい表現でも、読者にとってはそうではないことがよくあります。そこで、下の例文のように、内容を具体的に示すことで、正確かつ十分な情報を与えるとわかりやすくなります。
修正前: Climatic conditions were also checked.
修正後: Temperature and rainfall were also checked.
ただし、程度を示す形容詞や副詞である「approproate」、「quite」、「relatively」などは捉え方が個々の読者によって変わってしまうのでなるべく使わないようにしましょう。
誰が読んでもわかりやすい用語を使うことが重要です。
3. 単語の関連性を明確にするコツ
次に単語の関連性を明確にするコツをご紹介します。通常2~3の単語が連続していると、読者はそれらの単語が互いに関連していると感じます。
下の例文では、最後まで読まないと、red colors と insects が一連の語句のように思われる可能性があります。修正後の例文では、語順を変え、どの単語が関連しているのか明確にしたことで、読みやすくなっています。
修正前: To obtain red colors, insects and plant roots were used by indigenous people.
修正後: Insects and plant roots were used to obtain red colors.
また、句読点やハイフンを使うことでも、単語の関連性を明確にすることができます。文意があいまいな場合や、列記する項目が多い場合に使用しましょう。下の修正前の例文では、「車はあるがほとんど乗らない」なのか、「中古車を所有している」なのかを判断することができません。修正後の例文では、ハイフンを使って単語の関連性を明らかにしたことで、文意がはっきりしました。
修正前: I have a little used car in the garage.
修正後: I have a little-used car in the garage.
連続する単語の関連性が明確になっているか確認することが重要です。
4. 関係代名詞の利用
最後に、情報の追加によく使われる関係代名詞についてご紹介します。関係代名詞には「制限用法」と「非制限用法」が存在するということは、ご存じの方も多いかと思います。
「制限用法」は不特定の人や物を先行詞にとり、関係代名詞節を使って先行詞を具体化・特定化する用法です。科学英語では下の例文のようにthatを使います。
例: My sister that lives in Paris is a teacher.
「非制限用法」は、すでに特定された人や物を先行詞にとり、コンマに続く関係代名詞説を使って情報を補足する用法です。先行詞が物の場合はwhich、人の場合はwhoを使います。
例: I have a son, who lives in Tokyo.
また、先行詞と関係代名詞は離れないようにしましょう。関係代名詞は直前に置かれた名詞を修飾します。そのため、下の英文のように先行詞と関係代名詞節が離れてしまうと、意味を取り違える可能性が高くなります。
そこで、語順を変える、必要に応じて文を分割するなど、文意があいまいにならないように工夫しましょう。
| 修正前: | Each event is characterized by a set of parameters, as reported in Table 1, which describes ・・・. |
|---|---|
| 修正後: | Each event is characterized by a set of parameters, as reported in Table 1. This set describes ・・・. |
関係代名詞を適切に利用し、あいまいさを無くすことが重要です。