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Part 10 他者の研究への言及【おしえて論文作成】

1. 強調表現とヘッジング表現

自分の主張を述べる際は、表現が直接的すぎると読者の反感を買う可能性があります。

読者に誠実な印象を与えるためには、強調表現とヘッジング表現のバランスをとることが重要です。

強調表現を使うシチュエーション (第11回参照)

  • 論文の中で研究成果を記述している箇所に読者の注意を引き付ける
  • 重要な情報を開示する際に短いセンテンスを使う
  • 重要な発見に注意を引き付ける際、一般的な問題について述べる時よりも力強い言葉を使う

ヘッジング (hedging): 明言や断言を避け、発現内容を和らげること

  • 直接的な表現を避けることで、読者に対して疑問の余地を残し、尊大な印象を与えないようにする
  • 表現をあいまいにするのではなく、読者からの反論を防ぐために正確さを保つことが目的

2. 確信の程度の調整方法

情報の確信の程度を調整する表現をご紹介します。

①: 動詞

  • 疑いの余地を全く与えない (研究結果の強調、文献への言及)
    例1: These results demonstrate the importance of …
    例2: This means that …
  • トーンを抑える
    例: These findings appear to prove that …

上の2つの例文では、下線で示すような、断言することで疑いの余地を与えない動詞を使っています。このような言い回しは、研究結果の強調や、文献を引用する際に効果的な表現です。
一方、下の例文では、下線で示しているように、2つの動詞を使っており、最初の動詞が2番目の動詞のトーンを抑えています。

②: 形容詞

  • 革新性: innovative, novel, cutting edge, pivotal
  • 重要性: extremely important, very significant
  • 確実性: clear, obvious, definite, undoubtedly

また、形容詞にも上に示したような強いトーンを持つものがあります。
このような形容詞を他者の研究に対して使うことは問題ありませんが、自分の研究に使う場合は、読者に与える印象に注意してください。

③: 副詞・副詞句

  • 断定的な表現を和らげる
    例1: X is somehow related to Y.
    例2: X is likely related to Y.

2つの例文のように、下線で示している、程度や可能性を示す副詞を使うことで、断定的な表現を和らげることができます。

  • 主観性を和らげる ※多用すると曖昧になり過ぎるので注意!
    例1: X was reasonably clearly visible.
    例2: X was scarcely detectable, at least in our experiments.

副詞を足すことで動詞の強さを抑えることができ、主観的な表現を和らげることが可能になります。

  • 類似性、相関性、整合性の程度を調整する
    例: Our data fit quite well with those of Smith (2019).

類似性、相関性、整合性の程度を調整する際にも同じテクニックを使うことができます
このように、直接的な表現を避けることで、読者の判断が入る余地ができ、読者からの反論を防ぐことができます。

3. 他者の研究成果に言及するとき

他者の研究成果に言及するときの注意点についてご紹介します。

1つ目:他者の研究結果や結論に言及するときは、相手に敬意を示すためにも、建設的な態度で、肯定的に扱う

2つ目:批評する内容を書くとき、althoughやhoweverなどの接続詞が効果的だが、使いすぎると否定的なトーンが強くなるため、注意する

3つ目:他者の研究成果に疑問を呈するとき、内容を全面的に否定するのではなく、下の例文のように、他にも解釈の方法があることを述べる

例: A’s findings could also be interpreted as evidence of … . Viewed in this way, A’s results are actually in agreement with ours.