Part 11 剽窃と置き換え【おしえて論文作成】
1. 剽窃をしないために
今回は、文献を引用する際に剽窃をしないための注意点をご紹介いたします。
剽窃とは、他の研究や論文の一部を抜き出し、あたかも自分の言葉やアイデアであるかのように、自身の論文やレポートに使用する行為を指します。
このような行為が発覚した場合、学術論文であればリジェクトされる可能性が高く、学生のレポートの場合には単位の剥奪や除籍処分といった厳しい処分が科されることもあります。
ただし、他の研究者の論文から、独自の研究成果などの重要情報を含まない一般的な言い回しを参考にすること自体は問題ありません。一方で、一般的な表現にとどまらず、他の論文から文章をそのまま使用する場合は、必ず引用符を用いた上で、著者名などの出典情報を明記する必要があります。以下の例文のように、引用の際は著者情報を忘れずに記載するようにしましょう。
例: As noted by Wood (1997): “The owners of international
scientific English should be international scientists.”
ただし、原文をそのまま引用した場合、読者には著者がその文献内容を本当に理解しているのかが伝わりにくくなることがあるため、その点にも注意が必要です。
2. パラフレージングのテクニック
ここでは、原文をそのまま引用するのではなく、パラフレージングして引用する方法をご紹介します。パラフレージングとは、元の意味を保ちながら、文章の表現を言い換えることを指します。
以下に、原文1を用いた具体的なパラフレージングのテクニックを示します。
原文1: The owners of international scientific English should be international scientists not Englishmen or Americans
(Wood, 1997).
①: キーワード以外の語句を同義語に置き換える
例1: The owners of international scientific English should be international scientists not native English speakers.
⇒原文の ”Englishmen or Americans” を、同じ意味を持つ ”native English speakers”に置き換えています。
②: 品詞を変える
例2: International scientific English belongs to everyone in science.
⇒名詞 ”owners”を動詞 ”belongs” に言い換えています。
③: 単数 (複数) の名詞・代名詞を複数 (単数) に変換する
例3: The owners of international scientific English should be everyone in science.
⇒原文の ”international scientists” という複数形の名詞を ”everyone in
science” という単数形の代名詞に変換しています。
続いて、原文2を使ってさらに他のパラフレージング技法を紹介します。
原文2: It is important that you understand the work you are using in your writing (Gratz, 2006).
④: 動詞の活用を変化させる
例4: It is crucial that you completely understand the works you use in your paper.
⇒現在進行形 ”are using” を現在形 ”use” に変更しています。
⑤: 人称代名詞 (非人称代名詞) を非人称代名詞 (人称代名詞) に変換する
例5: You must have a clear understanding of the reference papers in your own manuscript.
⇒非人称代名詞 ”It” を人称代名詞 ”You” に変換しています。
⑥: 情報提示の順番を変える
例6: If you cite any works by other authors in your own paper, it is vital that you really understand the full meaning of what they mean.
⇒原文では後半に書かれていた「文献を引用する」という内容を前半に移動させています。
3. パラフレージングの注意点
まず1つ目の注意点は、専門用語は基本的にパラフレージングしないことです。
専門用語を無理に言い換えてしまうと、意味が変わってしまい、正確な情報ではなくなる可能性があります。
2つ目の注意点は、たとえ原文の形が残らないほど言い換えた場合でも、元の文献が独自の成果を含んでいる内容であれば、必ず引用元を明記する必要があるということです。
出典を示さないと、その内容が著者独自の考えであると読者に誤解されてしまう可能性があります。
また、パラフレージングは他者の文献を引用する際だけでなく、自分の書いた文章にも有効な手法です。例えば、文法に不安がある場合には、正しい構文を使って言い換えることで、文法的な問題を解決できます。
さらに、論文内で同じような表現が繰り返されているときも、適切に言い換えることで、文章の単調さを避け、読みやすさを向上させることができます。